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よくあるご質問

古い図面でS25Cの浸炭処理というものがありますが、熱処理硬度分布はSCM材と同様なのでしょうか?またサンプルなどあるのでしょうか?
違います。S25Cの浸炭とは正式には「浸炭窒化」のことです。マスが小さく複雑な形状を必要とするものは、容易に成形できる低炭素鋼などを用いますが、表面硬化を必要とする部品には処理温度が低く、薄い安定した硬化層が得られる浸炭窒化が用いられます。
焼入れ性の悪いS25C(低炭素鋼)を浸炭焼入れしても、焼きが入りにくく焼ムラとなり、硬化層も出来にくい。浸炭窒化は焼入れ性の悪い加工品の浸炭層に窒素を拡散させ、安定した表面硬化層を得る方法です。芯部は焼きが入らず、豆腐に薄氷状態です。
SCM材SCr材で熱処理時の傾向は変わるのでしょうか?
  • 浸炭深さが深くなったり浅くなったりするのか?
  • 硬度は同等なのか?
SCM材であれ、炭素鋼であれ浸炭深さ(浸炭影響層の深さ)は変わりません。浸炭深さは時間の平方根に比例します。ただし、浸炭硬化層は加工材の焼入れ性により変わります。一般的にはSCM材とSCr材はモリブデンが含まれるSCM材の方が焼入れ性は良く、芯部硬度が上がった分硬化層も深くなります。
同一熱処理においても丸棒素材と鍛造素材とで組成は異なるのでしょうか?また、異なる場合のサンプルなどあるのでしょうか?
硬化層の生成などは大きな違いはありません。ただし、鋼材の精製方法が違う為、フロー(偏析)や結晶粒などの出来方が違い、熱処理変形の傾向は多少違ってきます。また、材料チャージが異なるわけですから、多少の浸炭層及び、芯部硬さの差異は見られます。
Q3に関連し試作は丸棒、量産は鍛造素材を製作する事例に於いて、注意すべき点などはあるのでしょうか?
熱処理変形を考慮する必要があります。
曲り直しについて教えてください。
  • 荷重などはどのように決めているのでしょうか?
  • 曲り直しをした前後で断面の組成変化など確認した事例はあるのでしょうか?
  • 曲り直し工程は図面にすべき事例でしょうか?また、他社では図面に反映させていたりするのでしょうか?
基本的には矯正所品のワークは小さな加重をかけ、徐々に荷重を増やしダイヤルゲージにより曲り量に変化が出る荷重を見つけます。同熱処理ロットの同製品であれば、次品からはその曲がりが動く荷重を参考に矯正していきます。矯正を行っても金属組織は変わりません。他社の図面には「熱処理後、両センター基準でフレ量0.1mm以下」などと曲り量許容値の記載があるものがあります。
ワークの置き方において、平置きよりも吊った方が変形が少ない傾向があり、特定ワークについては吊っているものがありますが、図面にも規定したほうがよろしいでしょうか?
オーネックスでは製品毎に熱処理作業指示票を作成しています。作成時点で形状から変寸に対し適切な段取り方法を決めています。段取り荷姿の違いで変形を左右する場合がありますので、1度確定するとロット毎に段取り姿勢を変えることはありません。段取り姿勢の違いで変寸量が大きくなるなど、検証できていれば図面化は歓迎致します。
熱処理変形を少なくするのに有効な手法を教えてください。
ワークの形状を考慮し加熱変形を避ける姿勢、また均一冷却が出来る姿勢を見つけることです。形状的には左右対称にすることや、偏肉部、断面急変箇所などをなくすことです。
理論的には変わらないと思いますが、実際の処理において冬場と夏場、梅雨時などで熱処理のワークに違いはあるのでしょうか?
ありません。しかし外気温の急変によりワークの露付などで錆が発生する不具合事例は多くあります。
鋼材メーカーから‘高強度歯車鋼’などの紹介を受ける事がありますが、オーネックスではこうした材料の熱処理は扱っているのでしょうか?
高強度歯車鋼はSCM415材のモリブデンの成分を増やしたりし、焼入れ性を上げる元素をJIS規格より多く添加しているものが殆どです。特に熱処理条件的に変更する点はありませんが、オーネックスではSCM822などのJIS規格のものの方が扱いやすいことは事実です。特定の鋼材メーカーでしか扱っていない鋼種に変更することはあまりおすすめできません。
‘熱処理変形を少なくする’のではなく、‘変化をコントロールする’ことは出来るのでしょうか?またそうした事例はありますか?
焼入れ温度を上げる、焼きを完全に入れない等の方法で変形量を少なくすることは出来ます。しかし、焼入れ変形の傾向は同じです。局部的な変形をコントロールすることは不可能です。

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